フグは1年中漁獲可能な魚ではありません。実はフグには禁漁期間というものが設けられており、地域ごとに違いがあります。
地域別のフグの禁漁期間
大分県 | 4/1~8/19 |
宮崎県 | 4/1~8/31 |
愛媛県 | 4/1~6/30 |
山口県 | 4/1~4/20、毎週日曜日 |
和歌山 | 4月~9月(年毎に決定) |
だいたい4月頭~8月末までを禁漁期間として設定している地域が多いようです。各地域の禁漁期間はそれぞれの地域の実績などを考慮して決定されています。
地域毎に漁獲期間が違うのは、フグの産卵期が関係しています。
日本で漁獲されるフグの7割以上は1歳未満のフグで占められており、産卵期は九州南部では3月下旬ごろ、瀬戸内海では4月~5月、若狭湾や七尾湾では4月~6月となっています。
地域で時期に微妙な差があるのは、海水温が上昇することでフグが北上するためです。
なぜフグの禁漁期間が設けられているのか
近年日本ではフグの漁獲量が年々減少しています。
その理由としては、フグ漁が解禁されて以来乱獲が起きたり、産卵場が埋め立てなどにより無くなったりといったことが原因だと考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
しかし現在のペースで漁獲を続けていくと、今後も確実に漁獲量が落ちていくと考えられており、あと10年ほどで現在の半分程度にまで落ち込むのではないかと予想されています。
フグの漁獲ルールはいつ、だれが決めたのか?
2005年~2011年にかけ、山口県や九州で禁漁期間や漁船の制限など、フグの保護を目的としたトラフグ資源回復計画というものが、フグの漁獲量減少を重く見た水産庁によって実施されました。
計画終了後も、各地域それぞれの状況に合わせてルールを決め、それぞれの地域で独自に禁漁期間をもうけるなどの対応を講じています。
禁漁期間中フグ漁師さんは何をしているのか
禁漁期間中もフグ漁師さんたちはお休みしているわけではなく、いろいろな活動をしています。現場で実際にフグを獲っている漁師さん達はフグの減少を一番実感していますから、少しでもフグを増やしていこうと、トラフグの放流活動などをしています。
また、地域によっても違いますが、ふぐについて知ってもらうため、子供たちにフグの生態系や漁獲方法などについてや、調理方法などを教えたりするなど、フグの資源保護につながるさまざまな活動をしています。
地域毎の取り組み・特徴
フグの名産地として知られる山口県下関市では、毎年4月30日に、下関フグ供養祭というものが行われており、その年1年間に食べたフグへの感謝と供養の意味が込められています。供養祭には水産業者やフグの料理人など関係者が全国各地から集まります。
また、この日は地元の小学生による関門海峡へのトラフグの放流も行われています。
さらに下関では、毎年9月1日にふぐはえ縄漁船の出港式が盛大に行われ、大漁旗を高々と掲げた漁船が出向していきます。
また、東京の築地では2018年まで毎年4月にフグの供養祭が行われていて、隅田川でフグの放流が行われていました。
このほかにも大分県の臼杵市や愛知県の新居浜市など、全国各地のフグの産地で供養祭が行われています。
ちなみに、横浜の本牧八聖殿公園には、ふぐ供養塔というものがあります。
日本全国のいろんなところでフグの保護についてさまざまな活動が行われいるんですね。フグの禁漁期間がなぜ設けられているのか、その理由がよくわかってもらえたと思います。